仮想通貨取引所のハッキングは、暗号資産の世界における悪夢です。これらの事件は、巨額の金融損失を引き起こすだけでなく、業界全体の信頼を損なう可能性があり、さらにユーザー全体の信頼をも揺るがしてしいます。
本記事では、被害額に基づく史上最大の仮想通貨ハッキングランキングトップ10を紹介します。
2025年のBybitハッキング(約2200億円)から2014年のMt. Gox事件(約470億円)まで、過去の事件を詳しく見ていきます。
また各ハッキングの原因、日付、さらにビットコイン価格に与える影響等を解説し、業界がどのように進化してきたかを分析していきます。これらの事件から学び、自身の資産を守る方法を理解していきましょう。
ハッキング被害額ランキングTOP10の紹介
以下は、被害額の大きい順に並べたトップ10のリストです。驚くべきことに、2025年2月のBybitハッキングは約14.6億ドル(約2200億円)の損失で、世界の金融史上でも最大の被害額を記録しました。これは他の事件と比べても桁違いに大きいです。
- Bybit (2025年)
- Binance (2022年)
- Coincheck (2018年) ※日本
- FTX (2022年)
- Mt. Gox (2014年)
- KuCoin (2020年)
- Bitmart(2021年)
- Bitfinex (2016年)
- Zaif(2018年) ※日本
- Upbit(2019年)
※ドルベースの被害額で、日本円は当時の為替レートで概算。またPoly Network、BeanstalkなどDeFiプロトコルやNFTマーケットのハッキングは伝統的な取引所という概念ではないので省きました。
これらの事件からわかるように、仮想通貨取引所のハッキングは、主に以下の原因で起きています。
- ホットウォレットの使用:オンラインで管理されるため、ハッキングされやすい。
- 内部管理の不備:取引所の運営がずさんだと、セキュリティが甘くなります。
- スマートコントラクトの脆弱性:プログラムのミスが悪用されると、大量の仮想通貨が盗まれることがあります。
投資家としては、取引所を選ぶ際に、セキュリティ対策がしっかりしているかどうかを確認することが大切です。
またもしハッキングやその他の問題が起こった時に、その取引所がどれだけの対応ができるかは、取引所の規模や信用に大きく起因するので、これまでの取引所の対応も取引所を選ぶ際の大切なポイントです。
また、可能な限り自分の仮想通貨はコールドウォレットで管理するなど、自己防衛も必要です。

といったものの、正直にいうと、取引所のセキュリティ対策がどれぐらいしっかりとしているかは外からは分かりにくい事…またどれだけセキュリティにお金をかけて、技術が向上してもハッカー側の技術も同時に上がるから、ハッキングとセキュリティは、いたちごっこという難しい問題だね!
ハッキングとビットコイン価格の因果関係の分析
仮想通貨取引所ハッキングは、デジタル資産の安全性を脅かす重大な問題であり、ビットコイン価格にどのような影響を与えるかを理解することは投資家や市場参加者にとって重要です。
ここでは、主要なハッキング事件(Mt. Gox、Bitfinex、Coincheck、Zaif、Upbit、KuCoin、Bitmart、Binance)を対象に、ハッキング日とその前後のビットコイン価格変動を分析しました。
取引所 | ハッキング日 | ハック前の価格 | ハック後の価格 | 変化率 (%) |
---|---|---|---|---|
Mt. Gox | 2014年2月24日 | 約800ドル | 約700ドル | -12.5% |
Bitfinex | 2016年8月2日 | 約650ドル | 約620ドル | -4.6% |
Coincheck | 2018年1月26日 | 約11,660ドル | 約10,470ドル | -10.2% |
Zaif | 2018年9月20日 | 約6,500ドル | 約6,400ドル | -1.5% |
Upbit | 2019年11月29日 | 約7,500ドル | 約7,400ドル | -1.3% |
KuCoin | 2020年9月26日 | 約10,500ドル | 約10,400ドル | -0.95% |
Bitmart | 2021年12月4日 | 約55,000ドル | 約54,000ドル | -1.8% |
Binance | 2022年10月6日 | 約55,000ドル | 約53,800ドル | -2.8% |
ハッキング後、ビットコイン価格は通常下落しますが、影響の程度は異なります。
特に、Mt. Gox(2014年2月24日)とCoincheck(2018年1月26日)のハッキングでは、価格がそれぞれ12.5%と10.2%下落しました。これは、これらの取引所が市場に大きな影響力を持っていたためと考えられます。
驚くべきことに、一部のハッキング「KuCoin、2020年9月26日」等は価格にほとんど影響を与えませんでした(0.95%下落)。
ハッキングとBTCの因果関係の考察
ハッキングは通常、市場の信頼を損なうためビットコイン価格に負の影響を与えますが、他の要因(市場全体の動向や規制ニュース)も価格に影響を与える可能性があります。
長期的な影響はさらに複雑で、回復が見られる場合もある一方で、コインチェック事件のようにハッキングから大きな下降トレンドに突入する場合もあります。
特に大きなハッキングでは価格の下落が顕著ですが、小規模なハッキングでは影響は限定的です。暗号資産投資家は、これらのハッキング事件を考慮し、市場の動向を注意深く監視する必要があります。
トップ3ハッキングの詳細分析
ここでは、トップ3のハッキング事件と、暗号資産業界のセキュリティや市場の考え方を大きく変えたMt. Gox(マウントゴックス)事件を詳しく見ていきます。
1. Bybit 事件(2025) – 約14億6,000万ドル(約2,200億円)

Bybitは2025年2月に史上最大のハッキング被害を受け、約14.6億ドル(約2,200億円)の資産を失いました。
定期送金中に、イーサリアムのコールドウォレットから不正送金が発生、マルチシグ承認時のLedger表示の不備が原因で、誤った送金先に資金が流出とされています。
ハッキングが起きた時は、暗号市産業界全体がパニックになり、Bybitだけでも35万件の出金リクエストが出ていました。
しかしCEO自らが出てきて即日に謝罪、さらにハッキングが起こった時の丁寧な説明や、瞬時に損失額の8割の資金目処をつけて補填を確約したことが多くの投資家から評価を得ています。
2. Binance事件 (2022) – 5億7000万ドル

2022年、Binanceは高度なセキュリティ対策を講じながらも、フィッシング攻撃でホットウォレットが侵害され、5億7000万ドル(830億円)分のBNBが盗まれました。
事件発覚後、Binanceは外部のセキュリティ専門家と連携し、監視体制の全面見直しやシステム強化策を実施。
利用者へは速やかに情報提供と補償措置を行い、信頼回復に努めるとともに、今後のセキュリティ向上を強く約束しました。
3. Coincheck事件(2018年) – 約5億3,000万ドル(約580億円)

2018年1月26日、Coincheck(コインチェック)はNEM(XEM)トークンの大量不正流出事件に見舞われ、5億2,630万枚のNEMが盗まれ、被害総額は約5億3000万ドル(約580億円)に上りました。
内部管理の不備や、ホットウォレットでの資産管理体制の甘さが原因とされ、事件は国内外で大きな衝撃を与えました。
事件後、Coincheckはシステム全体の見直しと大規模なセキュリティ強化、利用者への迅速な補償措置を実施し、再発防止策の徹底を図りました。
Mt. Gox事件(2014) – 約4億7,300万ドル(約470億円)

2014年、当時世界最大級の仮想通貨取引所であったMt. Goxは、内部管理の脆弱さとセキュリティ対策の不備が露呈し、約85万BTCが流出するという甚大な被害を出しました。
この事件は、取引所運営の基盤そのものに大きな問題があることを示し、利用者の資産が一瞬にして失われるリスクを浮き彫りにしました。
事件後、多くの取引所はセキュリティ体制の大幅な見直しに踏み切り、資産管理の分散化や外部監査の導入など、業界全体で信頼性回復と再発防止に努める契機となりました。
仮想通貨を安全に保管するには?

自身の資産を守るために最も効果的なのは、コールドウォレットまたは、ハードウェアウォレットと呼ばれる、完全にネットから隔離した状態で資産を守ることです。
しかし、コールドウォレットやハードウェアウォレットでは、完全に自身でウォレットの管理を行うため、送金ミスやデバイス自体の故障など、GOXと呼ばれる資金が取り出せなくなるリスクもあります。
そういった、リスクをなるべく避けるためには、国内外の取引所の分散、動かさない大きな金額はハードウェアウォレットで保管といった組み合わせが効果的です。
リスクなどを照らし合わせてご自身にあった仮想通貨の安全な保管方法を見つけてみてください。
国内外の取引所論争の激化
史上最悪とされるBybitにおける約14.6億ドル(約2,200億円)のハッキング事件で暗号資産投資家の中で、取引所をめぐる論争が繰り広げられています。
ここでは、その一部を取りあげさせていただきます。
昨日のBybit CEOのBenの会見でBybitへの印象が少し変わった。
— くりぷとべあー🍻 (@cryptoo_bear) February 22, 2025
・CEO自らが出てきて謝罪
・ハックを喰らった時の流れを丁寧に説明
・自分が最後の署名者だったと責任を認める
・会見までに損失額の8割の資金目処つけてきて補填を確約
2000億円盗られた後でこんな対応できるん凄いよ、感動しちゃう😭
2000億ハッキングされてもしっかり対応し切った金融庁未許可のBybitより、
— kiyo (@kiyo_crypt) February 22, 2025
大きめの金額入れたら口座凍結してくる金融庁公認の国内取引所のほうがヤバいと思うのはワイだけかな?
私はbybitはハッキリ言って嫌いです
— とん (@enw96321) February 22, 2025
なぜなら初期に詐欺師を使って宣伝していたからです
でもユーゾーを始めとした仮想通貨サービスに関わる者が怠慢な金融庁の傘を借りて批判するのは勘違い甚だしいですよね
国内取引所の提供してる商品でbybitに勝ってるまたは同等は何一つありません
恥です
言いたいこともわかるけど、そういった取引所を使わざるを得ないくらいには国内の環境もユーザー目線で言えばヤバいのが正直なところ
— (/・ω・)/にゃー! (@crypto_nyaaa) February 23, 2025
日本のルールを守ってるのはわかるし、その中で利益出していくには今のやり方なのかもしれないけど、ユーザー側があからさまな損をするサービスを見るのは正直キツい https://t.co/cW5cLqN3Xa
どれだけ言葉を並べても、国内取引所の販売所スプレッドとかいう情弱搾取システムが成立してしまってる限りそこに正義はないよ
— ダッツ | Crypto Trader (@crypto_datz) February 23, 2025
日本国内取引所はまじでゴミ、例えばbitflyer とか https://t.co/rrYBJojsDO
— Normal Shun (@BybitShun) February 23, 2025
Bybitの件、金融庁ほんといい仕事したと思う。会社でもそうだけど、リスクを潰す仕事は実際にちゃんと仕事をすることで最悪のケースが起きないから目立たないけどそういう仕事はちゃんと評価されるべき。
— 渡辺創太 @スターテイル 💿 (@Sota_Web3) February 22, 2025
Bybitのハッキングについて、「海外取引所は怖い」等のポストしている方も探してみましたが、意外にもかなり少数派でした。
前々から仮想通貨に投資している方は、ほとんどの方が海外取引所を使っていたり、もしくは国内取引所と海外取引所を併用している方が多いです。
また、Xでは、多くの方が国内取引所の販売所のスプレッドがひろすぎる件に対して怒りをもっておられました。
国内取引所の販売所で仮想通貨を売買してしまうと、隠れた手数料でもあるスプレッドで売買の往復で5%~の損をしてしまいます。
国内取引所を利用する場合は、慣れてくれば必ず販売所ではなく「取引所形式」の取引で仮想通貨を売買してくださいね。
コインチェックなら、多くの通貨が取引所形式さらに手数料無料で売買可能です。※取引所はブラウザのみから利用可能。
まとめ:ランキングの振り返りと今後の展望
仮想通貨取引所ハッキングの被害額ランキングTOP10を通じて、過去の失敗から学ぶべき教訓が明確になりました。
Bybit(2200億円)、Binance(830億円)、FTX(670億円)、Coincheck(580億円)、Mt. Gox(470億円)の事件は、セキュリティ対策の不備がどれほど深刻な結果を招くかを示しています。
取引所はコールドウォレットや二要素認証、定期監査を徹底し、投資家の資産を守る責任を果たすべきです。
一方、投資家も取引所の安全性を確認する意識が求められます。仮想通貨市場は今後も成長が期待されますが、新たなリスクに備え、業界全体でセキュリティを強化していくことが、持続的な発展への鍵となるでしょう。