ビットコイン(BTC)など仮想通貨の長期保有者が増える中で、国内でもレンディングサービスが非常に人気になっています。
レンディング(貸仮想通貨)は仮想通貨を取引所等に貸し出して利息を得る仕組みです。仮想通貨レンディングは銀行の普通預金と比べると100倍以上の運用効率になるので要チェックです。
通常は所有する仮想通貨を取引所に預けていても利息を得ることはできませんが、レンディングサービスを利用して仮想通貨を取引所に預けると効率的に資産を増やすことが可能です。
この記事ではレンディングを最もお得にできる取引所の紹介や各取引所の比較、レンディングの仕組みに加え、メリットとデメリット、さらに初心者がやりがちな5つの失敗とプロの回避テクニックを紹介します。
レンディングの仕組み

仮想通貨レンディングサービスは保有している通貨を第三者に貸し出すことで手数料に当たる利息を得る仕組みです。
レンディングサービスを行う会社や取引所は預かった通貨を売買などで運営しているわけではなく、あくまでも「貸す側」と「借りる側」の間に入る仲介業者となります。
仮想通貨を貸す側は期間を決めて通貨を貸し出し、通貨を借りる側は手数料を払って信用取引などで効率の良い運用を行っています。
銀行の定期預金と同じような仕組みですが、銀行の預金とは比べ物にならないほどの金利差があります。
計算方法
仮想通貨レンディングはどれぐらいお得なの?という素朴な疑問ですが、ほとんどの国内取引所やレンディングサービス会社では1%~5%の年率に設定されています。※銘柄・期間・数量などによって異なる
■計算式
数量×年率×日数÷365
例えば1BTCを90日間、年率3%で貸し出した計算式は以下になります。
「1BTC」×「3%(0.03)」×「90日」÷「365」=0.00739726BTC
1BTCが1,500万円だと仮定すると、90日間で110,958円(0.00739726BTC)の利息を得ることができる計算になります。

もちろんビットコインの価格や年率が上がれば獲得できる金額も大きくなりますが、その逆もしかりです。
資産を2倍にする【72の法則】
「72の法則」という複利効果を簡単に示す計算式をご存じでしょうか。これは、資産を2倍にするまでに必要な年数を求める目安で、計算式は以下のとおりです。
■計算式
72 ÷ 年利回り = 資産が2倍になる年数(※近似値)
たとえば、年利回り6%で運用する場合は
72 ÷ 6% = 約12年
という結果になります。年利回りが高いほど、資産が2倍になるまでの期間は短くなるのがポイントです。
一方で、一般的な普通預金の金利に近い0.001%で運用したとすると、約72,000年もの長い年月が必要になります。いくら複利で時間をかけても、利回りが極端に低いと資産運用の効果はほとんど期待できません。
つまり、資産を効率よく増やすには「複利」×「長期」に加え、ある程度の利回りを確保することが重要です。
さらに現在、国内ではインフレの進行で日本円の価値がどんどん落ちていますが、ビットコインは発行上限がある“デフレ”通貨です。
もしビットコイン(BTC)の価格が上昇すれば、資産を2倍にするスピードは格段に早まり、それ以上に増やせる可能性も十分にあるでしょう。

日本円の預金金利と比べると仮想通貨のレンディングは夢があるね
レンディングのメリットとデメリット

メリット
仮想通貨レンディングのメリットは利率の高さだけではなく、複利を活かした着実な運用で初心者の方でも非常におすすめできる運用方法になっています。
①銀行の数百倍の利率
日本円を現金に預けた場合の金利は普通預金で約0.001%、定期預金でも約0.01%です。
そう考えると仮想通貨レンディングは日本円を銀行に預けるよりも100倍以上の利息を獲得出来ることになります。
②初心者でも着実な運用ができる
所有している仮想通貨はレバレッジ取引、アービトラージ、ステーキング、分岐チェーントークンの配布…などなど通貨の運用方法は数多く存在しますが、どれも初心者からすれば難しいものが多く、個人で手続きを行うには戸惑うものも有ります。
しかしレンディングサービスを利用すれば、レンディング提供企業に通貨を預けるだけで、ほぼ確実な仮想通貨運用を行うことができるのは大きなアドバンテージになります。
③取引をしなくても増やせる
仮想通貨の売買取引は時に大きな損失を出すことがありますが、レンディングサービスを利用すれば確実に所有している通貨を増やすことができます。
「長期保有で動かす気がない」という方はぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
④複利を活用できる
自動更新を設定しておけばより長く利用すればするほど複利の力で多くの利益を獲得することができます。
利息にも新たな利息が付く効率的な運用方法のことで長く運用すれば伸び率が高くなる
以下の表は、単利(常に同じ元本)と、複利(「(元本+前年利子)×利回り」)で100万円を年利5%で運用したシミュレーションです。
年月が経てばたつほど、運用利益に大きな差が開いているのが分かります。
運用期間 | 単利 | 複利 | 利益の差 |
---|---|---|---|
1年 | 1,050,000円 | 1,050,000円 | 0円 |
5年 | 1,250,000円 | 1,276,282円 | 26,282円 |
10年 | 1,500,000円 | 1,628,895円 | 128,895円 |
20年 | 2,000,000円 | 2,653,298円 | 653,298円 |
30年 | 2,500,000円 | 4,321,942円 | 1,821,942円 |

資産運用を上手に行うコツは、複利の力を利用するのが基本中の基本だよ!
デメリットと注意点
レンディングサービスにはデメリットや注意点も存在します。以下のようなリスクも点在しているので必ず念頭に置いておきましょう。
仮想通貨レンディングの最も大きなリスクは、価格変動によって資産が減少するリスクがあることではないでしょうか。価格下落の情報を事前に掴んでいたとしても、レンディングの途中解約ができない、もしくは手数料が必要になるというのも注意点です。
またレンディングサービスに限った話ではありませんが、取引所が破綻すれば預けている通貨は戻ってこない可能性が高いので、サービスを提供する企業の信用性や規模などを予め調べておく必要もありますね。

価格変動の激しい仮想通貨で中途解約できないのは大きなリスク!必ず確認しておきたい項目だね
レンディングの税金に関して
仮想通貨レンディングで得た利益には税金がかかります。税金の区分は仮想通貨の売買益と同じ「雑所得」です。
雑所得といえば、最大で55%…と思い浮かぶかもしれませんが、55%の税率はあくまで4000万円を超えた分に関して掛かる税率です。
通算して年間20万円以下なら非課税になり、195万円以下なら5%と実は比較的少額です。(※ただし、仮想通貨の税金は総合課税なので他に所得がある場合は、その他の所得と合算して計算しなければいけません。)
各社レンディング比較表
金利に関しては、取引所が定めている条件はあるもののおおよそが1%~5%となっています。
年利は最低率で0.1%~最大で5%(BTC)が適用されますが、貸出期間や貸し出す通貨などで年率が変更するサービスもあります。※取引所により異なる
コインチェックの最大5%(BTC)はその他の取引所よりも金利が高いのがメリットですね。
各レンディングサービスの名称や詳細は取引所によって異なるので以下を参考にしてくださいね。

ロック期間があることを考えると基本的には、価格変動が激しいアルトコインよりもメインのビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)でレンディングするのが最もポピュラーでおすすめだよ!
Coincheck「貸仮想通貨サービス」

対応通貨 | コインチェック取扱いのある全ての通貨 |
期間・年率 | 14日間「1%」 / 30日間「2%」 / 90日間「3%」 / 180日「4%」 / 365日「5%」 |
最小数量 | 1万円相当額の仮想通貨 |
自動更新 | 可能 |
受付期間 | 先着順 |
途中解約 | 不可 |
BTC
ETH
ETC
XRP
LTC
BCH
XEM
LISK
MONA
XLM
QTUM
BAT
IOST
ENJ
PLT
SAND
DOT
FNCT
CHZ
LINK
DAI
MKR
MATIC
IMX
APE
AXS
WBTC
AVAX
SHIBA
BRIL
BC
DOGE
Coincheck(コインチェック)では「貸暗号資産サービス」という名称でレンディングサービスを行っています。
1番の特徴は、最大年率5%という金利の高さです。貸し出す期間が長ければ利率が上がります。
貸し出せる通貨はビットコイン(BTC)の他、コインチェックの取扱いのある全ての通貨で対応しているのも嬉しいポイントですね。
GMOコイン「貸暗号資産ベーシック」

対応通貨 | ビットコイン(BTC)含む全27通貨 |
期間・年率 | 1ヶ月「1%」 / 3ヵ月「3%」※ATOMは3ヵ月10% |
最小数量 | 0.1 BTC / 回 |
最大数量 | 100 BTC / 月 |
自動更新 | 可能 |
受付期間 | 先着順 |
途中解約 | 償還時に受取予定の貸借料の10% |
BTC
ETH
XRP
LTC
BCH
XEM
XLM
BAT
XTZ
ENJ
DOT
ATOM
XYM
MONA
ADA
MKR
DAI
LINK
FCR
DOGE
SOL
ASTR
FIL
SAND
CHZ
AVAX
NAC
GMOコインでは「貸暗号資産ベーシック」「貸暗号資産プレミアム」という2つのサービスでレンディングを行っています。
「貸暗号資産プレミアム」は円転特約というデリバティブ取引になり証拠金が必要になるなど難易度が少し上がりリスクもあるので、ここでは、「暗号資産ベーシック」の紹介をさせていただきます。
「貸暗号資産ベーシック」では、基本手ベースが「1ヶ月が1%」で「3ヵ月が3%」と分かりやすいのが魅力的です。※一部通貨で、3ヵ月のみ10%もあり(コスモス/ATOM)
GMOコインは取引所サービスも販売所サービスも行っているので、ビットコインやイーサリアムなどメインの通貨に関してはレンディングサービスを利用しやすい印象ですね。
BITPOINT「貸して増やす」

対応通貨 | ビットポイント取扱いのある全ての通貨 |
期間・年率 | 募集毎に固定 |
最小数量 | 募集毎に決定 |
最大数量 | 募集毎に決定 |
自動更新 | 可能 |
受付期間 | 先着順または抽選 |
途中解約 | 不可 |
BTC
ETH
XRP
LTC
BCH
BAT
TRX
ADA
JMY
DOT
LINK
DEP
IOST
KLAY
SHIBA
POL
FLR
GXE
ATOM
TON
TSUGT
OSHI
SOL
DOGE
AVAX
SUI
PEPE
BNB
HBAR
BITPOINT(ビットポイント)では「貸して増やす」という名称でレンディングサービスを行っています。
期間は90日間で2%をベースとしていますが募集期間により変動します。
自動更新時の再貸出しの期間は30日になり、途中解約はできないので注意が必要ですね。
SBI VCトレード「貸コイン」

対応通貨 | SBI VCトレード取扱いのある全ての通貨 |
期間・年率 | コース毎に設定(例:7日間/28日間など) |
最小数量 | 0.01BTC |
最大数量 | 募集毎に決定 |
自動更新 | 不可 |
受付期間 | 先着順 |
途中解約 | 不可 |
SBI VCトレードでは「貸コイン」という名称でレンディングサービスを行っています。
SBI VCトレード取扱いのある全ての通貨で、レンディングができるので、かなりマイナーなアルトコインでもレンディングが可能です。
運用利率は、0.5~と低めに設定されていますが、過去にはポルカドット(DOT)で14日間で年率20%という驚異の数字が設定されたこともあります。
bitbank「暗号資産を貸して増やす」

対応通貨 | ビットバンク取扱いのある全ての通貨 |
期間・年率 | 1年間:BTCは0.1% その他アルトコインは最大5% |
最小数量 | 0.01BTC |
最大数量 | 募集毎に決定 |
自動更新 | 不可 |
受付期間 | 先着順 |
途中解約 | 中途解約手数料5% |
bitbank(ビットバンク)では「暗号資産を貸して増やす」という名称でレンディングサービスを行っています。
レンディングの報酬は、募集時期によって年率が変化することもあります。
また期間は1年間のみで年率や条件も今のところは、あまりよくないのでビットバンクしか使わないという方以外は、他の取引所のレンディングサービスの利用を検討してみても良いかもしれませんね。
FAQで解決|初心者がやりがちな5つの失敗とプロの回避テクニック
失敗1:税金計算を後回しにし申告漏れが発生
- Qレンディング報酬が20万円以下の場合、確定申告は不要ですか?
- A
いいえ、原則申告は不要ですが特記事項があります!
基本的には仮想通貨の雑所得は「年間20万円以下は申告義務なし」…ですが、申告義務なしの対象は、年末調整を受けている会社等に勤務している方(サラリーマン等)です。
何点か注意したいポイントがあるので、以下で確認してください。
失敗2:全資産を1つの通貨に集中投資
- Q年利20%のDOTに全額つぎ込んでも大丈夫?
- A
暴落時には元本50%減もあり得ます!
過去に、SBI VCトレードでは20%という高年利のレンディングを募集していました。しかし、2024年3月や2024年12のポルカドット(DOT )は、大暴落して50%もの価格下落を経験しています。

どれだけ年利が良くても価格がそれ以上に下がってしまうと本末転倒です。
マイナーなアルトコインのみで、レンディングを全額投資するのは非常に危険なので、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のメジャー通貨をメインに、ミドルクラスのアルトコインなどの分散投資がおすすめです。


具体的なポートフォリオ例を出すと、「30万円で始める場合:BTC15万+XRP 9万+DOGE 6万」
失敗3:ロック期間を確認せず資金が凍結
- Q急な出費でレンディング資金を引き出せません…
- A
「即時解約可能」な取引所を選べ
レンディングは貸出期間はロックがかかるので、途中解約は不可、もしくは手数料を払わないと解除できません。
途中解約が不可のところは、レンディング期間が終了するまではロックの解除はできません。しかし、手数料を支払って、途中解約できる取引所はあります。
途中解約する可能性が少しでもある場合は、以下の取引所を選んでレンディングしてみましょう。
途中解約OKな取引所 | 解約条件 |
---|---|
GMOコイン | 貸借料10%の手数料 |
ビットバンク | 貸借料5%の手数料 |

基本的には何があっても引き出さないという通貨や数量をレンディングしよう!
失敗4:金利につられてハッキング被害
- Q金利が良いよく分からないレンディング業者を利用してハッキング被害された
- A
金融庁に登録されている取引所を使え!
仮想通貨のハッキング被害は世界中の取引所で後を絶ちません。2025年2月には仮想通貨市場はおろか、世界の金融市場でも最も金額が高い2200億円規模のハッキング被害が海外取引所Bybitで起こってしまいました。
国内の仮想通貨取引所は、金融庁の登録制が義務になっており、セキュリティが非常に高く、顧客資産の分別管理(※レンディングは対象外)や国への報告義務など厳しい規制がかけられています。
しかし、仮想通貨のレンディングを行う業者には、現行法では規制外になり、金融庁の未登録のレンディング業者が多く存在します。未登録業者が必ずしも「危ない」というわけではありませんが、信頼と安全の面では国内取引所のレンディングサービスに劣ると言えます。

注意点は国内取引所のレンディングサービスは分別管理の対象外ってことだよ!取引所が超大規模なハッキングにあえば、保証の点は何とも言えないね…
失敗5:複利効果を無視して単利運用
- Q毎月の報酬をすぐに使ってしまいます…
- A
複利機能で雪だるま式増加を実現!
資産を増やしていきたいなら、上記でも解説した複利の力を使って、雪だるま式増加を実現しましょう。
100万円/5%を単利と複利で運用すると、5年後では26,282円しか差がなかったのが、30年後には180万円以上もの差が開いてしまいます。
運用期間 | 単利 | 複利 | 利益の差 |
---|---|---|---|
1年 | 1,050,000円 | 1,050,000円 | 0円 |
5年 | 1,250,000円 | 1,276,282円 | 26,282円 |
10年 | 1,500,000円 | 1,628,895円 | 128,895円 |
20年 | 2,000,000円 | 2,653,298円 | 653,298円 |
30年 | 2,500,000円 | 4,321,942円 | 1,821,942円 |

資産運用では、てこの原理のような『複利』を利用するのが基本だよ
【まとめ】仮想通貨レンディングサービスについて
ここでは国内の仮想通貨レンディングサービスについて仕組みやメリット・デメリットを詳しく記載しました。
仮想通貨取引所でガチホ(長期保有)している通貨があれば、積極的にレンディングは利用していきたいサービスです。
長期保有者で足元の相場が気にならないという方は、むしろレンディングを利用しないと逆に損ですね。
ただし、タイミングによってトレードを行う方にとっては通貨がロックされるので十分に考えた上でレンディングに参加しましょう。そういったリスクを回避したい方はロック期間があまりないステーキングサービスを利用するのも一つの手です!
また金融庁の登録制で運営している仮想通貨取引所のセキュリティは格段に上がっているので、取引所に通貨を預けているということ自体のリスクも年々低くなりつつあります。
一部上場企業のような大企業が行う取引所ではなく、レンディングサービスに特化した高利率の企業のサービスを利用するという場合はリスク管理が重要です。ご自身のスタンスにあったレンディングサービスがみつけられるといいですね。